レビュー

人の本質の理解が深まる傑作映画3選

こんにちは! 木下馨です。

 

前回では「公民権運動」やジョンソン大統領を取り上げました。

また、その関連する映画の話もいたしました。

 

映画といえばですが、

私も会社勤めは長く(大学卒業後すぐにサラリーマン)、1992年からは某映画会社に転職をいたしました。

いわゆるエンターテインメント業界で働かせていただいたことが、多くの経験やビジネスの糧になっています。

 

そこで今回は、差別や考え方の違い、習慣の違いを克服し、困難を乗り越えた実話を基にした映画を紹介したいと思います。

 

 

『タイタンズを忘れない』(原題;Remember The Titans

 

映画「タイタンズを忘れない」

 

 

公民権法施行の後も人種差別が渦巻く1971年、舞台はヴァージニア州;アレクサンドリアの州立高校です。

教育改革により、アレクサンドリアの州立高校で、白人黒人混合の高校フットボールチームが生まれます。

 

それも、教育委員会は、もともとの白人ヘッドコーチをアシスタントに降格させ、アシスタントとして雇われた黒人をヘッドコーチに昇格させる、という波紋を呼ぶ指示を出すのです。

案の定、白人保護者たちからは抗議の声、黒人のコミュニティからは自分たちの誇りと才能を示してほしいとの応援の声が届きます。

 

選手達は最初は、「肌の色が違う」だけで、お互いいがみ合っていますが、ヘッドコーチとアシスタントの揺るがない信念に感化されていき、かつ、「フットボール」というスポーツを通じて徐々に分かり合っていきます。

 

そして、周囲の人々をも巻き込みながら、奇跡を起こしていく実話をベースにした映画です。

 

ヒットメーカー;ジェリー・ブラッカイマー製作、デンゼル・ワシントン(トレーニングデイ)が主演、共演ウイル・パットン(60セカンズ)で描かれている秀作です。

チームが人種の壁を超え、一つになっていく感動作です。

 

 

『フリーダム・ライターズ』(原題;The Freedom Writers Diary

 

映画「フリーダム・ライターズ」

 

 

こちらは未公開作品ながら、私も名作の一つに数えています。
現在でも、Amazon Primeで見ることができます。

こちらも実話を基にした作品で、1994年;ロスアンゼルス郊外の公立高校が舞台です。
主人公の新人英語教師;エリン・グルーウェル(ヒラリー・スワンク:ミリオンダラー・ベイビー)が赴任した早々担当するのは荒れ放題のクラス。

ラテン、カンボジア、ヒスパニック、黒人、白人等、人種ごとにいがみ合い、勉強どころではない状態。

生徒たちは、高校卒業まで命があればラッキーくらいの劣悪な環境で暮らしている状態でした。

 

エリンは、差別が憎しみを生むことを理解してもらうために「アンネの日記」を生徒に読んで、感想を書いてもらうなどの授業をするのですが、エリンが戦うのは生徒だけではありません。

周りの教師の無理解や、既存の教育制度、家庭の両立など多岐に渡ります。

 

学校は教科書を購入できない生徒への支援金や、課外授業の費用を出してはくれません。

そこで、エリンは、生徒の教科書代や課外授業費の捻出のため、土日も仕事を掛け持ちます。

 

こうしたエリンの態度に、やがて、生徒もエリンに心を許し、生徒同士も人種をこえて助け合う、わかり合う関係になっていきます。

生徒たちが人種の壁を超え、互いに成長し、助け合い、最後に全員、大学に進学できたことがテロップで流れるところが非常に感動的です。

 

生徒たちが書いた日記は、集められて1冊の本として出版され、ベストセラーとなります。

その後、エリンと生徒らによりNPO団体「フリーダム・ライターズ基金」が設立されました。

 

余談ながら、この舞台はロスアンゼルス郊外のロングビーチです。

某映画会社はこの近くのカルバーシティーが本社でしたし、ロングビーチは数回訪れていますので映画にも見た風景が多く出てきました。

 

 

『ガン・ホー』(原題;Gung Ho

 

映画「ガン・ホー」

 

 

最後に「差別」と言うよりはまさに、習慣や考え、信じているものが違う人種が一つになって明るい未来を作る、と言う作品を紹介します。

これも劇場未公開作品ですが、Amazon Primeで視聴可能です。

 

この作品はコメディタッチで描かれています。

製作年度は1986年ですが、扱う商品や人種が違えども、現代でも全く通じるテーマです。

ロン・ハワード監督(ビューティフルマインド)が、マイケル・キートン主演(バットマン)で描いた作品です。

 

当時の日本はまさにバブル期。

片や、アメリカの製造業は全くの不況でした。

そんなアメリカの片田舎で、自動車工場が閉鎖されます。

 

活気も失せ始め、今後に対する不安の声があちらこちらから湧き上がってくる中、町の活気を取り戻すべく、ハント(マイケル・キートン)はひとり立ち上がります。

ハントは町の期待を受けながら、日本の自動車会社“アッサン自動車”の工場を誘致するために日本へ出向きます。

浅草や秋葉原が出てくるので、アメリカ人は、日本はみんなこんな街ばっかり、と思ったことでしょう。

 

まあ、日本人から見ると「そんなことないだろう」と言うシーンはいくつか出てきますが、それもアメリカ人から見るとそうなんだと。

これだけで、お互いの理解が必要なのがわかります(笑)。

 

最後は、工場の日米の社員が一致団結して、会社重役の坂本(山村聰)に「Good Team!」と言わせることに成功し、工場の閉鎖を防ぎ、町を助けます。

お互い「違いを認め合う」ことが理解の第一歩であり、尊重し合わなければ未来は築けない、と思わせる作品です。

 

未公開がもったいない作品です。

最後は明るくなることを請け合います!

 

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歴史を振り返ると、過去にも困難を克服した大勢の人たちはいますし、何事もそうですが、「人が悪く」したことは「人だけが良くできる」と思いますが、いかがでしょうか?

 

これらの映画を見て何か感じることができれば、それこそが「映像の力」かもしれません。

 

自宅で過ごすならこの3本は推奨です。

本日はここまで!

 

ありがとうございました!

アメリカの暴動に思い、未来を考える意味でもお勧めの映画

みなさん、こんにちは。

木下馨です。

 

アメリカでは、警察官の黒人男性への暴行&殺人により、各市で暴動&抗議デモで混乱が続いている状況です(このブログを書いている6月6日現在)。

アメリカは何年かに一度、それも似たような状況でこのようなことを繰り返している、というのがアメリカの歴史です。

 

今回は、アメリカで過去に起きた暴動の背景や、人種差別と戦った人たち、そして、それを描いた映画をご紹介します。

 

 

ワッツ暴動とロサンゼルス暴動

 

1965年に、ワッツ市(現在はロサンゼルス市に吸収)で起こった「ワッツ暴動」のきっかけは、白人のハイウエイ・パトロールが、黒人居住区ワッツ市で蛇行運転をしていた車を停止させ、黒人家族を逮捕。

その様子を地元住民多数が目撃し、警察官への襲撃に端を発し、集団略奪や放火にまで発展しました。

暴動は6日間、死者34人、負傷者1,000人以上、逮捕者は4,000人を超え、被害総額は3,500万ドルと言われています。

※ 居住者の99%は黒人、しかし配置された警察官はほとんど白人でした

 

1965年のワッツ暴動の様子

 

1992年に起きた「ロサンゼルス暴動」も、前年の1991年、警官の黒人に対する暴行に端を発しています。

ロドニー・キング氏はスピード違反を起こした際、20人もの警官に無理やり引きづり出されて暴行を受け、アゴの骨は砕け、片目も潰されたとされています。

この様子を近隣住民がビデオ撮影をしていました。

その後、起訴された4人の警察官は裁判で無罪。

※ 多数が白人。起訴された4人のうち1人はヒスパニック系

 

さらにこの事件が起きてから、13日後、黒人居住区の韓国系アメリカ人の女性店主が、万引きしたとして黒人少女を射殺。

その裁判も異例の軽い刑であったことも引き金になりました。

暴動は6日間、死者53人、負傷者2,000人以上、放火は3500件以上、被害総額は8億ドルとも10億ドルとも言われ、桁の違う被害が出た暴動でした。

 

 

アメリカの公民権運動を推進した人たち

 

アメリカはその歴史の中で「人種差別を無くす」ことに努力はしてきました。

1950年代から60年代にかけて、法の上での「人種差別」を無くす運動が全米で起こります。

キング牧師やマルコムXなど、多くの人が携わり、歴史と時間がかかった運動です。

 

歴史では、キング牧師とケネディ大統領がその推進者と言われていますし、見られています。

一部は当たっていますが、この「公民権法」を推奨し、議会でも強い発言力を持った大統領は、ケネディ大統領亡き後に就任した、リンドン・ジョンソン大統領でした。

 

彼は就任すると、これまでの上院議員としての長い政治生活、特に院内総務として培った議会への影響力を最大限に働かせました。

ジョンソン大統領は、公民権法の成立に向けて、キング牧師などの公民権運動の指導者らと協議を重ねる傍ら、保守派議員—特に地元選出の議員も多くいた—の反対(「人種差別主義」という意味での)にも、粘り強く議会懐柔策を進めました。

 

公民権運動でキング牧師とリーダーと話すジョンソン大統領。

 

 

LBJ;ケネディの意志を継いだ男

 

近年(現在でもかもしれません)、ジョンソン大統領の評価は低いのではないでしょうか?

「ベトナム戦争」を泥沼に引きづりこんだ大統領とか。

また、ケネディ大統領時代は副大統領でしたが、「キューバ危機」でもその発言力で何かが決まった、という話は出てきていません。

主役はケネディ大統領であり、ロバート・ケネディ司法長官、ケネス・オドネル大統領補佐官、ロバート・マクナマラ国防長官です。

キューバ危機を描いた映画『13Days』でもほとんど出てきません。

 

映画「13Days」
キューバ危機を乗り切った者たちを描いた名作。

 

彼の地元:テキサス州ヒューストンに「ジョンソン宇宙センター」があるのは、まさに彼の政治力(NASAのトップ)に他なりません。

 

しかし、映画『ライト・スタッフ』でも、宇宙飛行士;ジョン・グレンに「出発前に妻君と会談させろ」と無理やり電話させ、断られているという笑いのネタとしか描かれていませんでした。

 

映画「ライトスタッフ」
マーキュリー計画を描いた秀作。

 

2018年に公開された映画『LBJ  ケネディの意志を継いだ男』(監督;ロブ・ライナー)は、公民権法に尽力したジョンソンその人を描いている佳作であると思います。

ロバート・ケネディとの確執も、うまく描かれていると思います。

多くの大統領、指導者には失敗も成功も、また、「光と影」があるものです。

 

映画「LBJ:ケネディの意志を継いだ男」
ウディ・ハレルソンのが演技が映える佳作。

 

「LBJ」とは、Lyndon Baines Johnsonの頭文字です。

ケネディ大統領は「JFK」と誰でもが覚えているか、聞いたことがあると思います。

映画の中でも、ジョンソン大統領(ウディ・ハレルソン)は国民から愛称としてそう呼ばれたいらしいぞ、とケネディ大統領の側近が笑い飛ばすシーンがあります。

多くの人はこの映画で「そうなのか」と思ったかもしれません。

 

 

多くの差別が人類に残っている現在、我々のすべきことはまだまだあります。

自宅で多くを過ごす時間、この映画を見て、現在のアメリカを少しでも良い方向にしようとした人たちがいたのだ、と強く感じた時間でした。

 

映画「オールザウェイ」。
「エミー賞受賞のブライアン・クラストンがジョンソン大統領を演じたHBO Filmsの力作です。
「LBJ」で描ききれなかった議会工作や苦悩、キング牧師やフーバーFBI長官とのことが細かく描かれています。
両作品を見ることを勧めます。

 

よろしければご覧ください。

 

今回はここまで。また、お会いしましょう!!